肥満や肥満症は放置すべきではなく、正しく対処すべきです。Profil社はこうした病的状態の治療に向けた新しいアプローチを検討しています。その治療法には内科的治療、薬剤療法、外科的治療といった様々なものがあります。
新しい肥満治療法の開発は、Profil社が特に力を入れている研究分野の一つです。肥満症とは、「正常範囲を超えた体脂肪の増加」を特徴とする慢性代謝疾患です。
肥満度はいわゆる体格指数(BMI)を用いて表します。BMIは体重(kg)を身長(m)の二乗で割って求めます。
BMI算出式
BMI値に基づいて肥満度を分類します。BMI 25~29.9が肥満1度と分類され、BMIが30以上になると発病リスクが高くなるとされています。
BMIによる肥満/肥満症の分類
BMIのほかに、脂肪分布パターン(体のどの部分に脂肪があるか)も特定の疾患(代謝性疾患あるいは心循環器疾患)のリスク判定に重要です。特に、いわゆる腹部脂肪(別名、内蔵脂肪)は心循環器疾患のリスクを増大させると考えられています。腹囲測定は、そのような発病リスクを簡単に予想できる方法の一つです。
肥満の治療を行うべきか否かはBMIや体脂肪分布の状況のほか、合併症の有無、リスク因子の有無および患者自身の希望にも左右されます。
ドイツ肥満学会(DAG)は以下のケースにおいて治療を推奨しています。
特定の疾患を罹患している場合や妊娠中には肥満治療は行いません。
減量療法の目標は、健康上のリスク要因と関連する体重を長期的に減少させることです。治療目標は、患者に合った現実的なものでなければなりません。
DAGでは、BMI値に応じて以下のような減量を推奨しています。
減量は基本的に食事の改善、運動療法、行動療法を組み合わせて行います。こうした治療法は内科的治療と呼ばれます。
栄養改善法に関してDAGのガイドラインは「健康を損なうことなく十分な期間にわたってエネルギー摂取を抑制すること」を推奨しています。エネルギー摂取抑制の方法は患者ごとに個別に選択します。その具体的な方法としては例えば、脂肪あるいは炭水化物(糖質)摂取の減少、(一日の摂取カロリーを800~1200 kcalに一時的に制限するための)代用食の併用あるいは代用食への完全切替えなどがあります。糖尿病の食事療法の詳細については、当社の「糖尿病ガイド」をご覧ください。
運動量の増加(運動療法)は、エネルギー消費を増やすことでエネルギーバランスを改善する(エネルギー不足状態を導く)というアプローチです。これにより運動療法は一連の肥満関連疾患に好影響を与え、生活の質を高めることも期待されます。一般的に、糖尿病患者に対しては日常生活における身体的運動の増加を促す必要があります。ただし、それぞれの患者の状況(BMI、合併症)も配慮して、現実的な目標を設定する必要があります。
具体的には、例えば週あたり150分以上の運動(特に持久性の運動)をDAGは提案しています。
運動量を増やしながら、カロリー摂取を減少させることは、減量に向けた理想的な生活習慣改善策です。「Sport mit Diabetes (糖尿病とスポーツ)」のページ(ドイツ語)に、患者の身体活動に関する有用なヒントをまとめましたので、ご参照ください。
さらに、減量プログラムの一環として行動療法(個別療法あるいはグループ療法)の実施も望ましいとされます。糖尿病患者のなかには、精神疾患を併発し、相応の心理学的ケアを必要とする人々も少なくはありません。
精神疾患のない糖尿病患者の場合でも、経歴(過去の体重変動記録、減量体験、自己評価)、動機、社会的条件(配偶者・家族、友人、職場)、食物摂取の役割・機能(ストレス発散、やけ食い)などを分析し、患者にあわせたトレーニングプログラムを実施できれば理想的です。行動療法では、行動・進歩の自己観察、摂食・運動行動の柔軟なコントロール、目標設定、社会的支援、再発予防などの措置が取られます。
肥満症の治療において、薬物療法が減量のための第一義的な選択肢ではありません。生活習慣改善を試みても減量できない、あるいは減量効果が不十分な場合にはじめて、薬物療法の併用が検討されることになります。
薬物療法は単独ではなく、常に内科的治療と組み合わせて行うべきです。
減量のための薬物投与の開始および使用薬剤の選択は、患者個人に応じて、必ず医師の指導のもとに行います。
DAGのガイドラインによると、BMI28以上の成人患者の減量用薬剤として、いわゆるリパーゼ阻害剤(オルリスタット)の使用が推奨されています。リパーゼ阻害剤は小腸での脂肪の消化(分解)を抑制し、体内への吸収を減少させます。しかし、この薬剤を摂取すると脂肪便や排便回数増加が生じることがあります。こうした副作用のため、同剤の使用が停止されることがしばしばあります。脂肪阻害剤は処方薬ではありませんが、その使用にあたっては医師あるいは薬剤師に予め相談すべきです。
EUでは2015年以降、その他2種類の肥満治療薬が承認されました。これら治療薬は、BMI 30以上の成人、あるいはBMI 27以上で、高血圧、2型糖尿病、脂肪代謝異常といったその他のリスク因子を有する成人に使用できます。
そのうちの一つのタイプは、GLP-1受容体作動薬リラグルチドです。この薬剤は元来、糖尿病の治療のために開発されたもので、実際にその用途でも使用されています。肥満・肥満症の治療に用いる場合、胃からの食物排出を遅延させ、それにより満腹感を高めることがこの薬剤の主な作用機序です。
もう一つのタイプの肥満治療薬はナルトレキソン(アルコール依存症などの治療に用いられるオピオイド拮抗剤)とブプロピオン(抑うつ剤として用いられるノルアドレナリン・ドーパミン再取込抑制剤)の配合剤です。どちらの有効成分も脳の飢餓中枢に作用し、満腹点を超えて食物を摂取しようとする欲動を抑制すると考えられています。
両薬剤ともリスク増大や副作用の可能性があるため、処方薬となっています。それらの使用の判断は、医師が患者ごとに個別に行わなければなりません。
DAGガイドライン(最新版:2014)には、これら新規承認薬についての言及はありません。
肥満の外科的治療(胃バイパス術、胃バンディング術、十二指腸スイッチ術)は原則として、極端な肥満症または内科的治療で期待した目的が達成不能な症例に限って行われます。
ただし、特定の合併症を有する患者ならびに特別の心理的・社会的苦痛に悩む患者の場合にも、例外的に外科的治療が適用されることがあります。
いずれの場合も、外科的治療は個々の症例に応じて専門医(外科医、内科医/内分泌専門医、栄養士、心理学者)による診察のもとに行う必要があります。体重、その増減経過および二次診断を考慮して、患者個人のリスク分析を行い、それに基づいて患者に適した治療形態(テーラーメード治療)を決定することが推奨されます。
ここで留意すべきことは、あらゆる手術にはリスクが伴うということです。著しい肥満の患者には、付加的なリスク因子が伴います。外科手術に起因する特殊なリスクのほかに、創傷治癒障害、血栓症、心筋梗塞、腹部炎症(腹膜炎)などの合併症が発生する恐れがあります。
Neuss:
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